ハヌル(空)とソナ(善雅)は、T大学の3年生になっていた。



冬休みに入って、今日はクルスマスイヴである。



ハヌルは、KYU(朴需→パク・ユ)との部屋デートの為、前の晩から部屋を模様替えしていた。



明日のクリスマスライヴのリハーサルも昨日終わり、今日はまるまる1日オフ日なのだ。



勿論俺も休みだ。



俺は、横浜のホテルからKYUと二人で新宿に在る新星MUSIC日本支社に戻って、報告を済ませてから、実家に向かった。



実家には、ソナが昨晩からお泊まりしていたので、KYUを降ろしたら直ぐにソナを乗せ、本郷に在る俺のマンションに戻った。



『オッパ(女性が恋人を呼ぶ時に使う敬称)、明日のクルスマスライヴが終わったら、来年の正月明けまで仕事が入ってないって本当?』



「あぁ、そうだよ。

そのために、年末特番や正月特番用に沢山仕事したんだから。

生放送は無いから、大丈夫だよ。

1月7日までのんびり出来るから。」



『KYU君も?』



「そうだよ。

ハヌルが悲しそうにしてるから、頑張って前倒しで撮影とか入れて、無理なスケジュールでここまで来たんだから。

年末年始くらいは、俺達もKYU達もゆっくりしたいもんね!」



『そして、正月休み明けは、ソウルの本社研修だよね!』



「そっちの方が大変だよ。

研修の指導にあたってくれる教官が、王娜仁(ワン・ナイン)氏だからなぁ…。」



『ワンナイン(1・9)?』



「そっかぁ~!

ソナは、まだ会った事無いもんな。

娜仁氏は、名前こそ女の子っぽいけど、元々は韓国の海軍作戦指令部にいた強者だからなぁ~!」



『そんな人が、どうして新星MUSICに在籍しているの?』



「王娜仁(ワンナイン)氏のお兄さんに当たる人が、新星MUSIC釜山支社の方で音楽プロデューサーをしてるんだけど、お兄さんの王來仁(ワンレイン)氏が社員研修するのに、弟の娜仁(ナイン)氏に依頼したのが始まりで、軍隊式の特訓の中から団結力や愛社精神、発言力や行動力などを、あらゆる角度からアタックして向上させる目的で始めたのが、今から10年前だそうで、うちのアボジ(親父)が最終的に釜山海軍作戦基地で教官をしていた娜仁(ナイン)氏を引き抜いてきたって訳!」



『そうなんだ。』



「兎に角、新星グループの全社員が1度は彼の下で研修を受けるから、娜仁氏は、殆ど毎日どこかの施設内で社員研修を監督しているよ。」



『それで、今回は私達もその研修を受けるの?』



「そうじゃないよ!

日本から連れていく社員に同行して、ハングル語の分からない社員の為にサポート役として付くんだよ。」



『なんだ!

そんなもんでいいんだ!?』



「ソナは知らないんだもんなぁ!」



『どう言う事!?』



「同行してサポートするって事は、研修中はその人達と同じ行動を取るってことだよ!

朝6時に起きて、夜1時に寝るまでずぅ~っとだからね!」



目を白黒させて驚くソナであった。