ホテルに電話を入れて、ジムと連絡を取った。



偶然にも見つかったよ!と話して、ギターと現金は戻って来ると伝えて安心させた。



部屋で待ってて貰い、ロバートに連れられてジャッキーとキャロルが家電量販店で買ってきた物や、携帯電話の入った袋を持って、ギターを持った俺と共に4人でジムの部屋に向かった。



ピンポーン



直ぐにジムがドアを開いた。



部屋の中に入ると、ロバートが直ぐに頭を下げ、



『ミスタージム、すまねぇ!

俺の友人が、あんたに迷惑を掛けちまった。

ジャッキー、キャロル、こっち来い!』



『ご免なさい。

あのぉ、全部ハドソン川に捨てちゃったから、
新しく買って来ました。』



「ジャッキー?

キャロル?

ジュリーとマイキーじゃなかったんだね?

ギターは?」



「ミスタージム、ここにありますよ。

無傷で戻って来ましたから。」



『本当にごめんなさい。』



「それから、現金も、彼女達は、教会の寄付金入れに入れてしまったらしいから、ミスターロバートが立て替えてくれたから。」



『携帯電話の中のメモリーやMP3プレーヤーのメモリー、それにハンディカムの映像やデジカメの画像は戻ってこないけど、彼女達を許してやって欲しいんだ。

このGold Stringsの大会で破れた俺の為だとか考えて遣ったらしいんだ。

不甲斐ない俺に免じて、彼女達を許してやってくれないだろうか?』



「ヘイ、ミスターロバート!

頭を上げてくれよ。

もう分かったから。

ギターが戻ってきたから、それで良いさ!

このギターは、ゼマイティスの遺作でも有るから、もう2度と手に入らないもんなんだ。

それが無傷で俺の手元を戻っただけで充分さ。

えぇ~っと!

ジャッキーとキャロルだったかな?

もう怒ってないから。

ミスターチャンス、本当にありがとうな!」



「たまたま、偶然見つけたんだから、それで良いじゃないですか!」



と、特殊能力を解放してジムの頭の中にも言い聞かせた。



すると、直ぐに納得して丸く収まった。



俺は、ジムに明日のアポロシアターでのチャリティーコンサートに参加する話をしたら、何とジムも参加させて欲しいと言い出し、明日のコンサートでは、ギター3本によるヘビーメタルバージョンのトッカーターとフーガが、追加曲となったのである。



「楽しみだなぁ!」


『今晩のラジオ放送で大会ファイナリストの2人も明日のコンサートに参加してくれるって言うからな!

こうなったら、絶対参加だからな!』



「もちろん!

こんな楽しいお祭りに参加できるなんて最高だよ。

うちの撮影クルーに撮影してもらって、日本で流しても良いかなぁ?」



『チャリティーコンサートだから、構わないぜ!

観客席の雰囲気なんかは撮っても良いけど、客の顔のアップは、肖像権とかが煩いから、気を付けてな!』



「了解です。

日本でも、こんな活動をしているグループが居ますから、励みになります。

それじゃあ、楽しみながら楽しんで貰いましょうね!」



明日の夜まで、ワクワクしながらギターを握って練習するジムとチャンスとロバート達、ザキングバードのメンバーだった。