CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






マンハッタンのど真ん中に在るABC放送。



ハーレムからタクシーで1メーター、アッと言う間に到着した。



エントランスを通り、受付カウンターに行くと、インフォメーションスタッフの若い女性は、ジムに気が付くと頬を赤らめながら、



「ようこそABCへ!

本日は、どういったご用件でしょうか?」



『Gold Strings担当プロデューサーのミスター カーティスはいらっしゃいますか?』



「カーティス プロデューサーですね。

少々お待ちください。

今すぐ降りて参りますのでもう少しお待ちください。

こちらの1階奥のラウンジの方でお待ちください。」



『OK!』


「スミマセン!

コーヒー2つお願いします。

ジム、兎に角、俺に任せてくれますか?

必ずギターを取り戻しますので。」



『分かった!任せたよ。』



★「お待たせしました。

プロデューサーのエリック カーティスです。」



『忙しい時にどうもすみません。

こちらは、知ってますね。

今大会のファイナリストのミスターチャンス君です。

彼の話を聞いてください。』



★「何でしょうか?」



「宜しくお願いします。

早速本題に入りますけど、実は、こちらのミスター ジム フェルナンデスのギターが盗まれたんですよ。

犯人は分かっているのですが、無事にギターを取り戻したいので、お力をお借り出来ませんか?」



★「盗まれたですって?

あのギターは、数十万ドルの価値がある物ですよ?

一体どうして?」



「最初から話すなら、実は‥‥‥‥‥女性が‥‥‥‥ホテルで‥‥‥そして‥‥だから‥‥‥‥って言う訳ですよ。」



★「なるほど!

で携帯電話に写っている、この2人の金髪の女性が盗んだと!?」



「そう言う訳です。

それでですね、お宅の昼と夕方のニュースで、この画像を流して欲しいのです。

そして、ギターを取り返してくれた人には、今大会の賞金10万ドルを全て差し上げると決めましたので、懸賞金提示をしてもらいたいのです。

ギターの画像は、こちらです。

ゼマイティスのメタルフロントの最後の逸品です。

購入時には3万ドルしたそうです。

シリアルナンバーが入っていて、このネックの裏側のここです。

ここにNo.666と不吉なナンバーが入っているそうです。」



『俺は、この番号はお気に入りなんだがね!』



★「分かりました。

こちらとしても、UK音楽シーンでもトップクラスのバンド、ザ・モンスターズのリーダーでギタリストのジム・フェルナンデスのギターが盗まれたとなれば大スクープですよ。

犯人の画像も有る上に懸賞金付きとなれば、話題騒然ですよ。

こちらからお礼言いたいくらいです。」



「それじゃあ宜しくお願いします。

ジムは、テレビで視聴者に向かって呼び掛ける映像でも撮って下さい。

わたしは、その間に逃げ道を作って罠を仕掛けておきますので!」



『一人で大丈夫なのかい?』



「ノープロブレムですよ。

終わったら、ホテルの部屋で待っていてください。

私も終わり次第戻りますから。

アッ、それから一番重要な事を言い忘れてました。

ミスター ジム、テレビのニュースの中で流すコメントの中に、犯人は今大会に出場していた奴かもしれないって言って欲しいのです。

そして、今大会に出場していたギタリストが犯人なら、徹底的に調べてこの業界にいられなくしてやるぜ!なんて、それっぽく脅しをかけて欲しいんです。

必ず、何らかのリアクションが返って来るはずだから。

俺を信じてやってほしい。

リアルっぽく頼みます。」



『大丈夫なのか?

そんなに煽って、間違っていたら訴訟大国アメリカで、俺が逆にヤバくならないか?』



「心配有りません。
間違いなく犯人は、今大会に出場してましたから。

実は、ほぼ犯人のめぼしも付いているんですよ。」



すると、ジムは驚いたように目を見開き固まっていた!



さぁて、いよいよ泥棒にお仕置きしなきゃ!