『懸賞金って一体誰がそんなお金を出すんだい?』
「勿論ジムじゃないか!
優勝賞金1,000万円を懸賞金として使うんだよ。」
『でも、結果はまだ出てないし、もしチャンス君が優勝した場合はどうするんだい?』
「UKトップクラスのバンドで、大豪邸に住んでいるジムが、良く言うよ!」
『でも‥‥‥‥‥‥
まぁ、そうだな!
あのギターは、もう同じ物は手に入らないもんだし、ミスター トニー ゼマイティスの最後の逸品だもんなぁ。
背に腹は変えられ無いもんな!』
「でしょう!?
それに、懸賞金だって本当に払わなくても良いと思うよ。
ギターは、盗まれた訳だから、盗品がそんなに簡単に出てくる訳無いし、高額な物だから、そんなに手早く売買出来ないでしょう!
要は、情報を得るための手段として懸賞金を掛けるんです。
その上、あの2人の金髪女性の顔写真を公開する訳だから、懸賞金欲しさに彼女達はニューヨーク中の市民から注目されて、身動きが取れなくなると思うんですよ。」
『なるほど!
それで?』
「後は、奴等に逃げ道を残しておけば、 自然とそこにやって来て、こっちが彼らを追い込めるって訳ですよ。」
『普通のギタリストの発想じゃあ無いな!
ミスター チャンス、君は一体何者なんだい?』
「至って普通のただのギタリストですよ。
さてと、それじゃあお腹も一杯になった事だし、行きますか?」
『行きますか?って、一体どこに行くんだい?』
「Gold Stringsを主宰しているABC放送ですよ。」
『まさか、俺が嵌められた事も話すのかい?』
「まぁ、良いじゃないですか!
旅の恥はかきすて!ってことわざが日本には有るんですから。
イングランドからアメリカにやって来たジムが、アメリカで若い女性に騙されたって話は、結構インパクトが有るから、案外色んな人達が食い付いてくれると思いますよ。」
『嫌だ~~~!』
「まぁ、そう言わずに行きましょう!
アッ、逃げないで下さいよ。
子供じゃ無いんだから。
兎に角!巧く誘きいれる逃げ道を作って誘い込まなきゃいけないんですから、諦めて行きますよ!」
『まるで格闘家だな!
分かった分かった!
逃げないからこの手を離してくれ!』
「それじゃあ、レッツゴー!」
『ところで、逃げ道を作って誘い込みって、一体どうやるんだい?』
「それは、後のお楽しみに!」
不敵な笑みを浮かべた俺は、何故かワクワクしていることに気が付いた!



