俺は一旦、自分の部屋に戻ってシャワーを浴びて、GーパンにプリントTシャツ、薄手の黒のブルゾンにヤンキースのキャップを被って、ジムの部屋をノックした。
『やぁ、チャンス君、俺も準備出来たから下に降りようか。』
「渋いっすね!
イングランド紳士って言うより、ジョニー・デップって感じですね!」
『格好いいかい?』
「なかなか似合ってますよ。」
『サンキュー!
で、ハーレムの教会って言っても、あすこにぁあ沢山の教会が在るけど、どうするんだい?』
「実は、俺の専属のボディーガードがいるんだけど、彼等から連絡が有って、ギターの在処(ありか)の大体のめぼしはついているんですよ。」
『本当か?
凄いじゃないか!
って言うか、チャンス君にはボディーガードが付いているんだ?!』
「まぁ、小学生の時に誘拐されてさ、それ以来父が俺の身辺警護の為にってつけてるんですよ。
普段は遠くからの警護なんですが、今回の様に何か有れば動いてくれるスタッフなんですよ。」
『それで、ボディーガード達は何て言ってたんだい?』
「赤い扉の教会の近くにあるカフェテリアを探してと言われました。」
『その教会は分かるのかい?』
「 Blessed Trinity Baptist Church( ブレスド トリニティー バプティスト 教会)って言う名前だそうです。 」
『じゃあ、取り敢えずその教会の近くにあるって言うカフェテリアを探してみるか!』
と言う事で、俺達2人はタクシーに乗ってハーレムにある ブレスド トリニティー バプティスト 教会へと向かった。
20分程で到着した教会の扉は、案の定赤い扉で、ボディーガードが教えてくれた教会が、アボジ(親父)のプロファイリングと一致していた!
カフェテリアを探して教会の回りを彷徨いていると、黒人のヤバそうなのが何人もジロジロとこちらを警戒しながら遠巻きに睨んでくる。
ここは、ハーレムって言ってもウエストだから、イースト・ハーレムよりは治安が良いと聞いていたが、どうもそう言う訳でも無いみたいだ。
余所者は排除される街だから。
取り敢えず、封印の指輪を外して、ポケットに仕舞った。
何かあれば能力を全て開放してジムを守らなければ。
歩いて3分程で、教会の裏手にあるカフェテリアを発見した。
カフェテリアの入り口付近には、危なそうな連中が5~6人、Bボーイ系ファッションに身を包んで、しゃがみこんで此方を威嚇するように睨んできた。



