暫くすると、ニューヨーク市警が遣ってきた。
2人組の警官は、ダラダラとした態度で実に不愉快だ!
時間は、早朝6時少し前
通報を受けた時には、仮眠中だったのがビジョンでわかった。
こそ泥の犯行で、朝から呼び出すなよ!と唸っているビジョンさえ見てとれた。
その警官は、鑑識がやってきたのを横目で見ながら、
『取り敢えず被害届けを出しといて!
後は、鑑識の結果しだいな。
じゃあ、そう言う事で宜しく!』
と言って、帰っていった。
頭に来て、勢い良く立ち上がったジムを落ち着かせて、ホテルの監視カメラの映像を入手してきた鑑識さんに、映像を観させられているジムの肩に手を置いて、一緒に観た。
ホテルに到着してから出ていくまでの一部始終が写ってはいたものの、2人共一切顔が写ってはいなかった。
正に計画的犯行を裏付ける証拠となった。
俺は、ちょっとトイレに!と言って、御手洗いに入りドアをロックした。
次に、ポケットから携帯電話を取り出し、昨晩のパブでのジムと両脇に座った金髪の若い女性を思い出しながら、携帯の写メのボタンをタッチした。
パシャって言う微かな音と共に、俺の携帯のギャラリーホルダーには、念写した2人の若い女性がハッキリと写っていた。
直ぐに、アボジ(親父)にメールでプロファイリングの依頼をした。
画像貼付メールを送信してから、御手洗いから出て、ジムの隣に行った。
鑑識さん達は帰った後で、ジム1人だけがベッドに座って未だに項垂れていた。
「俺がパブで撮った携帯電話内蔵カメラの画像が有るのを思い出したんだ。
これで、どうにか出来そうだよ。
これ見て。」
『オゥ、ジュリーとマイキーがハッキリと写っているじゃないか!』
「えぇ、でもその名前すら怪しいもんですよ。
きっと偽名でしょう!」
『かもな!
しかし、手懸かりがこの画像と偽名だけじゃなぁ………。』
三度(みたび)項垂れるジムであった。