CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






「真中マネージャー!

しっかりして下さい。

真中マネージャー!」



ベッドの上には吐血した後があり、真中マネージャーは意識が混濁した状態であった。


俺は直ぐに911に通報して、救急車の手配をした。



その間、堺皇成はマネージャーの呼吸を確認したり、呼び掛けを繰り返していた。



『大丈夫みたいです。

呼吸はキチンとしてるみたいです。

ただ、苦しそうで、意識はハッキリしていません。』



「救急車呼んだから、直に来ると思うよ。

取り敢えず、それまで待とう。」



『はい!』



それから10分くらいで、ホテルに救急車が到着して、真中マネージャーは最寄りの救急病院に搬送された。


その日の晩、意識を取り戻し、症状も安定した真中マネージャーは、申し訳なさそうに頭をさげながら、



『本当にありがとうございました。

いやぁ、マジでもう駄目かと思いました。

堺君に電話掛けても出ないし、仕方無いからフロントから救急車呼んで貰おうと思った辺りから、意識が無いんだよなぁ……!』



「ミッション中は、携帯電話禁止なんで、電源切ってスタッフに預けておかないといけないもんで。

でも良かった!

ドクターの話だと、もう心配無いそうです。

これからは、ミネラルウォーターを飲んでくださいね!

水道水は、絶対ダメですからね!」



『はい、ありがとうございます。

チャンスさんも居てくれて、本当に助かりました。』



「それじゃあ、ここで仕事の話を1つ良いですか?」



『仕事の話をですか?』



怪訝そうに首を傾げて、何なんだろうって表情でこっちを見てきた。



そこで、日本にいるアボジ(親父)からの依頼を、詳しく説明した。



勿論、二つ返事でOKを貰い、ギャランティーもスムーズに決まり、明日の午前中に収録することとなった。



翌朝 A.M.8:00



俺は、シャワーを浴びた後、カジュアルな感じだけど、ちょっぴりフォーマルっぽさの有るジャケットに身を包み、1階のカフェテリアでバイキング形式のブレックファーストをとり、その後昨晩ホテル側に頼んで押さえてもらった、多目的ルームの中で、シックな感じの部屋へと向かった。



2台のカメラがONになり、MC無しの対談が開始した。



「先ずは自己紹介からしていきましょう。

私は、元XYZのギタリストで、現在ソロ活動中のチャンスKです。

今回は、Gold Stringsって言う大会に出場していて、そのために1ヶ月間アメリカにいます。

今日で大体半月経ちました。

それでは、私の対談相手の、この方です。」



『皆さん、ご機嫌如何でしょうか?

ハードロックバンド Broken Headのギタリスト兼リードボーカルの堺皇成です。

って言うより、ナイトメアのSeijiさんの義理の弟って言った方が知っていますよね!

今回は、僕もこの大会に参加していますが、メチャクチャ大変なんですよ。

第4関門位までは楽だったんですが、その後は着いていくだけで必死ですよ。』



「堺君、そんなこと言っちゃって、実力はかなり有るじゃないですか。

Silver Wolfの野村さんと昨日話してたんだけど、堺君最近は特に良い感じにスキルアップしてきているって言ってましたよ。」



『そんなこと言われたら、何か照れちゃいますねぇ。

ところでチャンス君、最近の音楽で、興味をそそられる物って有った?』



「有った有った!

韓国のK-POPアイドルの女の子達が、カントリーソングを今風にアレンジして歌ってたんだけど、聴いたこと有る?」



『あぁ、僕も聴きましたよ!

あれって、何か新鮮ですよね?!

コード進行も、ちょっと独特だったし、聴いてて楽しくなる感じのアレンジだったなぁ。

ここにギター有るから、ちょっとどんな感じか視聴者にも聴いて貰おうかな?!』



「じゃあ僕が伴奏を遣りますから、チャンス君はメロディラインを宜しくね?」



『OK、任せて!』



その後、1時間程話して終了した。