CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






そんなことを考えながら、自分専用のブースへと入っていった。



各ブースの中には、飲み物や軽いスナック類と電子レンジ、それにお手洗いが着いている。



しかし、携帯電話やパソコンの類いは一切ないから、自分の知識だけで頑張って作曲しなければいけない。



本当にチャレンジアルバムで、ダンス音楽をやってて良かったと、今はひしひしと感じている。



そうじゃなければ、JIVEなんて俺には無縁だったはずだから、なんの知識も無いままだと、完全に今日で脱落するところだ。



まぁ、まだ通過するとも決まって無いのだが!



俺は、頭の中で思い描いた曲のイメージをギターで繰り返し弾いてみた。



納得できるフレーズが出てきたら、その前後に色んなメロディをさまざまなリズムでくっ付けていく。



それをコード表示して、オンビートで演奏してみる。



そんな作業を繰り返していくうちに、大まかな曲のアウトラインが完成していく。



コードをもとに、メロディのイメージをもう一度細かく描いていき曲にも膨らみを持たせる。



アドリブを入れながら、オンビートから、全拍にアクセントを乗せても軽快なリズムで通し演奏をしてみる。



違和感の出てきた箇所を、譜面にチェックしていき、少しずつ手直しをする。



そして出来上がった曲を、メトロノームのテンポに乗せて、タイムを計りながら演奏してみる。



3分以内にキチンと収まっていれば、完成だが、そう簡単に事が運ぶ訳もなく、無理なコード進行によるリズムの乱れなどでタイムロスをして、3分2秒だ!



この完成した曲を、よりスムーズに演奏出来るように、何度も繰り返し練習する。



きっちり2分52秒だ!



これをブース内をあるDVDに録音して、自分の名前の入った袋に入れてからブース内の投函口に入れると、スタッフが回収していくのだ。



次は得意のロックだ!



曲のイメージが失恋と成っていたから、先程と同じ手順で曲を組み立てていった。



オンビートから、定番のマイナーコードを一切使わないで、思い切って明るい失恋ソングをロックのリズムで表現してみることにした。



しかし、遣ってみたら難しく、なかなかうまくいかない。



仕方なく、エフェクターのディストーションで曲を歪まして、振られたショックをイメージさせてみた。



そして、E♯からサビの部分をA♯へと変調させ、BPM=170で演奏して、16分音符を多用した70年代に流行ったブリティッシュハードロックのイメージで曲を完成させた。



これも同じ手順で録音して、名前の入った袋に入れてから投函口に入れた。



時計を見たら、ブースに入ってから4時間以上経っていた。



結果は明日分かるそうだ。



取り敢えず、終了した者から順番に帰って良い事になっていた。



俺は、撮影クルーに挨拶して帰ろうとした。



すると、インタビューしたいと韓国KSBの撮影クルーから申し出がきた。



俺は、快く引き受けた。