平田刑事さんと打ち合わせて、渋谷店と新宿店の2店舗に各2名ずつ配備される若い刑事さん4名と顔合わせをした。
彼等は、今晩からSeoul Nightで働いて貰うが、支配人以下スタッフ全員には刑事だと言うことは言わずに、中途採用して研修中と言う名目にしている。
流石に一度に4名のアルバイトスタッフ採用と言うには無理のある捩じ込みであるからだ。
今晩は俺も、2店舗を廻って様子をみることにした。
何か分かるかもしれないので、封印の指環を外し、観察することにした。
初日は、深夜3時まで俺も渋谷店にいて観察していたが、特に何も起こらないので、帰宅することにした。
明日は自分のギタリストとしての仕事も入っているので、少しくらいは寝てないと体がもたない。
翌日の昼12時過ぎに、MUSIC LIFEと言う雑誌のインタビューのために、今回は都内の某楽器店に来ている。
おすすめのギターだとか、演奏に合わせたエフェクターの選び方等を聞かれ、最後に写真を撮影されて2時間後に解放された。
会社の自分の部屋に戻ると、ソファに沈み混んで軽く1時間程仮眠をとっていた。
突然、デスクの内線が鳴る。
が、直ぐに起き上がれなくて途中で切れてしまった。
と思いきや、ノックと共にハ秘書が一礼して入室してきた。
『コ常務、お疲れでおやすみでしたか。』
「いや、大丈夫だ。
何か用ですか?」
『はい、先日お会いになられた刑事さんが面会したいと参っておりますが。』
「平田刑事さんですね。わかりました。
隣の小会議室に通しておいてくれますか。
顔を洗って眠気を冷ましてから直ぐにいきますから。」
『わかりました。そのようにしておきます。』
それから5分後、冷たい水で顔を洗いシャキッとした頭で小会議室へと入っていった。
そこでは平田刑事が、椅子にふんぞり返って座ったまま、出された花餅を頬張りながらコーヒーを飲んでるところだった。
「お待たせしました。それで、ご用件は?」
『おたくは、案外せっかちだな。
それじゃあ本題に入るけど、昨日潜入させてもらっている部下から聴いたが、おたくのあのお店は専用の会員証が無いと入店出来ないそうだな。
そういえば、俺が行った時もドアボーイが会員証を見せろって言っていたのもおもいだしてな。』
「はい。
初回来店時に身分証明書から作成させてもらって、次回以降はその会員証かあればスムーズに入店出来るようになっています。」
『それじゃあ、その時入手した顧客台帳を見せてくれないか?』



