ハワイに家族旅行中だったから、俺だけ先に一人で帰国するつもりだった。



翌朝はやく、一応アボジ(親父)には昨晩の詳細を話して、今日の午後一の便で帰国する旨を伝えた。



アボジは、


『ソナちゃんはどうするんだい?』



と、聞いてきた。



「後、残りまだ5日間も有りますから、ソラ(俺の妹)も居るし、皆と一緒の方が良いでしょう!」



『それでも、一応ソナちゃんには話して、どうするか聞いた方が良いだろう。』

「分かりました。

それでは、直ぐに帰国の準備をしてきますので。

アボジ達は、ゆっくり楽しんでいて下さい。

皆が帰国する頃には、解決しておきますので。」



『頼もしくなぅたなぁ。

なぁ、ヨンミちゃん、これだと会社はチャンスにいつでも任せて引退出来そうだな。』



「そうですわね。

貴方は、今まで忙しすぎたから、これからはチャンスに任せて、私達は旅行でもしながら楽しく過ごしましょ!」



『ちょっとオムニ(お袋)待って下さいよ!

アボジには、まだまだ頑張って貰わないといけないんですから。

俺だけじゃ、理事達も納得してくれないし、本社の重役連中は、アボジが押さえてくれているから静かにしていますけど、副理事の金哲茱氏(キムチョルス)さんの派閥も最近は段々でかくなっているから、大変なんですよ。』



「確かにな!

金一派は、従弟の奥さんの家系が入り込んでいるからなぁ。

金に物を言わせて膨れ上がりすぎたかも!

まぁ、そのうち解体するけどな。

結束力は大したこと無いから問題外よ。」



『アボジは呑気だなぁ。

乗っ取られ無い様に気をつけて下さいね!』



「無理無理!

奴等にそんな度胸無い。

せいぜい、自分サイドのタレントを多く働かせて、上のもんは楽して金儲けしたいくらいにしか頭を使ってないから、乗っ取られる心配は無いさ。

それよりチャンス!

早くしないと飛行場に間に合わなくなるぜ。」



『本当だ!

それじゃあアボジ、オムニ、ここで失礼します。

後の事、宜しく頼みます。』



「気をつけてな!」



と言う訳で、直ぐに自分のコテージに戻り、ソナに事情を話した。



彼女は心配して、一緒に帰国すると言い出し、仕方ないので二人で荷造りをして、タクシーで空港にむかった。



電話で予約しておいたので、直ぐに二人分のチケットを受け取り、出国の手続きをした。



小一時間程で搭乗開始となり、機内に入って漸く落ち着いた。



『チャンスオッパ、大丈夫よね?』



と、昨晩の出来事の火の粉が俺に飛び火するのではと心配して、俺の顔を覗き込んできた。



その顔は、ヤバいくらいに可愛くて、近づいてきたソナのおでこにチュッと口づけてみた。



驚いたソナは、誰かに見られたのではと、慌てて周りをキョロキョロと見渡している。



何か面白い!






そして8時間後、成田国際空港に到着した。



時刻は現在夜の10時少し前である。