シュノーケリングしたり、パラセーリングしたり、バナナボートに股がってマリンジェットで引っ張って貰ったりして楽しんだ俺達は、午後から休みを貰ったジュリーさんの彼氏のクライドさんの運転するクルーザーに乗り込み、いざクルージングに出発だ。
『12月から4月くらいの間だったら、座頭くじらの群れが見れたりするんだけど、やっぱりこの時期にはもう無理みたいですね。
まぁ、近くの島を回遊しながら、釣りをしても良いですよ。
釣れたてを船上で即料理して、皆に召し上がっていただきます。』
「なんか、楽しみ!
ジョージ君、でっかいの釣ってね?」
『任しとくのら!
カジキ釣るじょ~!』
なんて、下らないことも言いながら釣って、食べて、海上からのサンセットを堪能してオレンジ色に輝く海が、次第にダークブルーに変わっていく頃、俺達は港に戻って来た。
「いかがでしたか、サンセットクルージングは?」
『とても素敵でした。
波も穏やかでしたので、船酔いする人もでなかったし、料理も美味しかったし、最高でした。
ところで、うちのアボジ(親父)とオムニ(お袋)は?』
「お二人なら、オーナーと一緒にコテージに行きましたよ。」
『そうですか。
ありがとうございます。』
支配人にお辞儀して、俺はソナと一緒にアボジ達のコテージへと向かった。
テジュンやジョージやKYUも、それぞれのコテージへと帰っていってる。
楽しかったが、長時間潮風に吹かれるとどうしても疲れてしまう。
こんな日は、さっさとシャワー浴びて横になるに限る。
クラブハウスから一番近いアボジ達のいるA―1のコテージ。
中に入ると、リビングではリーさんとオムニの3人でシャンパンを飲みながら、炙ったスルメを食べていた。
「アボジ、まだ病み上がりなんだからお酒ダメだって言ったじゃないですか!」
『チャンス、心配しないでも大丈夫ですよ。
私が飲ますわけ無いじゃない!
もちろんノンアルコールですから!』
「チャンス、ヨンミちゃんが飲むと怒るんだよ。
たかが胃潰瘍で、厳しいんだから。」
そうなんだ。
胃ガンの事は、俺が周りの全員に記憶操作をして、胃潰瘍って事にしているのだ。
『それでも、治ったばかりなんだから、オムニの言うことをちゃんと聞いて、酒と煙草はだめですから!』
「分かってるよ。」
あぁ~あ、アボジがついに拗ねちゃったよ。
『まぁ、会社の事もあるし、家族の事も考えたら、酒と煙草止めるくらい簡単な事でしょう?
何かあってからじゃ遅いんですから、今から常に健康の事を考えた生活を心がけなきゃ。
新星グループで、健康に関する会社でも興そうかな?』
「オッ、チャンス!
何か良い案でもあるのかい?」
『NSダンススクールがあるでしよ?
あれって、そんなにスクール生いないから、健康維持やダイエットのためのカリキュラムを組んだダンススクールを開校してみようかなぁなんて考えています。』
「ヒョンジュ、お前んとこの息子はなかなか頼りになるな!
うちのケビンやジュリーも、もっと俺の会社に貢献してくれたら良いんだが、なかなか遊ぶ方が忙しくて片手間でしか手伝ってくれないんだぜ!」
『手伝ってくれるようになったのなんて最近だぜ!
それまでは、まぁうちのタレントしてたってのもあるけどな!』
「それにしても、まさか俺達XYZの約束って曲が、日本語バージョンで新たに歌われていたとはなぁ!」
『うちの息子が、この曲を気に入って、使わせてくれって言うから、まぁ俺の作詩作曲だから良いよ!って言ったら、新しく日本語の歌詞つけて大ヒットだよ。
アレンジして、グランドピアノでのニューバージョンでも大ヒット。どちらもミリオンだぜ!
それを今度は、新たな歌詞をハングル語に直して、韓国にK―POPバージョンでシングルカットして発売したら、これもミリオンだから、1曲で3ミリオンセラーだっつうの!
おいしいだろ?』
「すごいなぁ!
まぁ、ヒョンジュのあの歌詞も良かったけどな!」
『あの時、も少し真剣に音楽を目指して頑張ってたら、もっと売れてたかなぁ?』
「だろうな。
皆、初めてのミリオンで浮かれて、練習もしないで遊び回って、横柄な態度でプロデューサー舐めてたし、干されて終わるのも当然ちゃあ当然だよな!」
あ~ぁ、若い頃のアボジ達って、いったい何を遣ってたんだ?
情けな~ぁ!