CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






最初の5曲を演奏し終える前には、新たなリクエストが!



「今度は、ローリングストーンズだぜ!

サティスファクションいけるかい?」



『これは、韓国に居たときにも、たまにライブでやってましたから大丈夫です。』



「え~と、それからクィーンのアイワズボーンか!

知ってるかい?」



『問題ないです。』



「またリクエスト来たよ。

今度は、CCRのナンバーが2曲プラウドメアリーと、それから雨を見たかい?」



『プラウドメアリーは大丈夫ですけど、雨を見たかい?の英語タイトルは何ですか?』



「雨を見たかい?は Have You Ever Seen The Rain?ってタイトルだよ。」



『それなら知っていますから大丈夫です。』



「それじゃあ続けて4曲いくよ。」



『イェ~イ!』



だんだんと盛り上がってきたリクエストタイム!



俺達の演奏に併せて踊り出すお客様もチラホラ。



「今日は、沢山のリクエストありがとうございます。

まだまだ受付中ですので、どしどしお願いしますね!」



と、リーさんがマイクでリクエストを募っている。



新しいリクエストが来るまで、俺達はXYZのヒットナンバーを演奏していった。



流石リーさん、初めて聴いたはずの俺達の曲に、バシッとドラムがリズムを重ねてきた。



これがプロのミュージシャンだ。



俺達は最初、出来なかったが、本堂さんの特訓と厳しい指導のお陰で、大抵の曲なら初見でも合わせられるようになった。



『リクエストありがとうございます。

それでは、次はイパネマの女をお届けしますね!』



と、リーさんが曲紹介をしてスムーズに演奏に入っていく。



「次は、ビートルズナンバーを続けて5曲。

まずは、レットイットビーから。

そして、イエローサブマリン。

続いてサージェント ペッパーズ ロンリー ハーツ クラブバンドを。

それから、ヘイ ジュード、最後に、アイ ワーナー ホールド ユア ハンドをお届けします。」



レストランは、音楽を楽しむお客様で良いムードになっている。



照明も幻想的で、ココヤシの葉っぱの隙間からも、野外照明の光が射し込み、各テーブルの上にあるキャンドルライトと相まって、南国ムードをより一層引き立てている。



『そろそろ最後のナンバーになってきました。

ラストナンバーは、‥‥‥‥‥ありがとうございます。

XYZの代表作【約束】をお届けします。

それでは、お聞き下さい。

XYZでヤクソク!』



野外レストランで食事をされている日本人のお客様が、気を使ってくれたみたいで、ヤクソクをリクエストしてくれた。



やっぱり、お客様が俺達の曲を聴いて楽しそうにしてくれていたり、喜んでいてくれてたりしているのを見ると、音楽を続けていて良かったと思う。



だから、心の底からこう言った。



「ありがとうございました。

本当にありがとうございました。」



そして、約3時間に及ぶリクエストタイムが修了して、レストランにはハワイアンのCDが流れ始めた。



俺達は、クラブハウスの2階に楽器を片付けに行き、戻って来てやっと晩御飯の時間だ。



『あぁ、お腹すいたよ。』



「ジョージ君、なに食べる?」



『ナナちゃんと一緒なら、何でも良いのら!』



「貴方、このお肉美味しいわよ!」



『ミリ、頬張りすぎ!

あんまり食べ過ぎると太るぞ!』



「大丈夫!

私は、毎日テコンドーの稽古しているんだから、これくらいのカロリー大したことないわよ。」



そうだった。


うちの奥さん、テコンドーの3段なんだけど、叔父の長谷さんと一緒に未だにテコンドーの道場に通っていたんだっけ!



そんなこんなで、長い1日が更けていった。



明日は、皆でホエールウォッチングに行くそうだ。



ジュリーさんの彼氏さんも一緒に、クルージングしながら、海上で食事も作ってくれるそうで、今から楽しみである。