CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






ハワイに来て3日目を終えようとしている。




昨日は、1日中ワイキキの海で泳ぎ、シュノーケリングをしたり浜辺でバーベキューをしたり、ジェットスキーやマリンジェットに乗って海面を滑走したりと、久し振りにはしゃぎ回った。



ジュリーさんの彼氏さんも紹介して貰い、一緒になってシーフードのブロシェットを焼いて食べた。



夕方になって、一旦コテージに引き上げて、19時に屋外レストランに集まって全員でショーを見ながら、海の幸を堪能してまた1日が終わっていった。



明けて3日目、今朝はハワイ風ブレックファーストを皆で食べている時、ミスター リーさんがやって来て、



「チャンス君達、もし良かったら、今晩の屋外レストランにある特設ステージで演奏してみないか?」



と、唐突に言ってきた。



一体どういう訳なのかと、次の言葉を待っていると、



「実はね、今日のステージの演目だったハワイアンダンサーが、マウイ島のホテルのショーとダブルブッキングしてしまってね、どうしてもって向こう側のホテルから頼まれて、来れなくなったんだよ。

それで、タヒチアンやポリネシアンのダンサー達に急遽お願いしようと思った時、君達の事を思い出してね!

俺がドラム叩くから、どうかね?

君達、やってみないかい?

ギャラも弾むよ!」



『いゃあ、ギャラなんて良いですよ。

こんなにお世話になっていますので、困っているのでしたらお手伝いさせていただきます。

それに、リーさんのドラム共演してみたいですから。』



「そりゃ助かるよ。

それじゃあ、2階の一番奥に練習スタジオがあるから、そこで出し物の打ち合わせと練習をしようかね。

部屋には、Kヤイリのエレアコ(エレクトリックアコースティック)のギターと、ローランドの最新のキーボード、それとフェンダーUSAのストラトタイプのベース、それにシェアのマイクを用意しているので、自由に使ってくれれば良いよ。」



『新旧のXYZ共演が見られるとは、面白い事になってきたぞ。


それじゃあ、俺も久し振りにステージに立つかな?』



「アッパ(パパ)、ギター弾きながら歌うの?」



『そうだよ。』



「私も歌いたい!」



『ソラ、じゃあKYUとデュエットしてみたら?

ソラの歌もなかなか良い感じだし。』



「それで、だいたいどんなジャンルが好まれるんですか?」



『そうだなぁ……

今は、アメリカからのお客様と日本からのお客様が半々くらいで、後はヨーロッパ系が1組くらいだから、英語の歌とかハワイアンソング、あとは熟年層が多いので60年代のロックンロールとかエルビス、ビートルズ系なんかがうけるよ。』



「ソラ、好きにならずにいられないとか、タイニーバブルスなんか歌えるだろ?」



『うーん、だいたいわかる。

後、得意なのはツイスト & シャウトかな!』



「良いねぇ!

じゃあパパは、露彬(ロビン)達とハワイアン ウェディングとか、ラブミー テンダーとか歌っちゃおうかな!」



『後、日本からのお客様にヤクソクをハワイアンバージョンでお届けしたいな。』



「それじゃあ、食後に皆で練習しよう。

ミリ、どうする?」



『練習風景を撮影したり、見学してる。』



「ナナちゃん、隣で見ててくれろ~!」



『うん、見てる見てる。

頑張ってね!』



なんて言いながら、ホッペにチュッとかして、ラブラブなトークをしていた。



ソナは、



「チャンスオッパ、私もウクレレで参加したいよ?」



って、随分乗り気だ。



『それじゃあ、あまり時間無いからさっそく練習しようか。

バッチリ教えてあげるよ。』



結局、大人数での野外ライブが計画され、残り10時間で仕上げなければいけない。



問題はねソナのウクレレとソラの歌だが、二人とも基礎は出来ているので飲み込みも早く、良い感じに仕上がっていった。



そして夕方6時過ぎ、そろそろ夕暮れが近付いてきたころ、俺達は野外ステージの上でリーさんのマイクパフォーマンスを聞いていた。