6月に入り、じめじめした梅雨が明けた下旬に、元XYZのベーシストのテジュンと恋人のミリちゃんが赤坂グランドホテルで結婚式を挙げた。



テジュンの計らいで、ミリちゃんが顔出しOKのTV放映での挙式には驚いた。



もちろん俺達XYZのメンバー全員で駆けつけての披露宴では、特設ステージでなんと6曲も演奏する羽目に!



ミリちゃんのウェディングドレス姿は、身長166cmプラス10cmのヒールで、まるでモデルのような花嫁であった。



お父さんが亡くなって居ないミリちゃんの為に、元気になったうちのアボジ(親父)がミリちゃんと一階にバージンロードを歩くって言いはっていたのに、結局伯父の長谷さんがバージンロードを一緒に歩いたのだ。



お陰でアボジはちょっと拗ねてしまってた。



全く大人げない我が父親である。



盛大に盛り上がった披露宴から二次会、三次会と経て、朝方4時頃に解散となった。



テジュンとミリちゃんは、二次会が終わってからホテルで1泊したのち、翌朝は10時の飛行機に乗ってサイパンにハネムーンである。



なんでも、ミリちゃんがサイパンに行きたいとお願いしたそうだ。



落ち着いて大人っぽいテジュンなら、これからも、きっとしっかりミリちゃんと巧く遣っていけるだろう。







月は明けて気が付けば、今日は7月は7日!



俺の23才の誕生日だ。



Seijiさん率いるナイトメアの七夕ライブに俺もギタリストとして参加している。



もちろんKYUも一緒だよ。



『チャンス君もKYU君も、今日はありがとうな!

今日のライブが、終わったら打ち上げなんだけど参加してくれるよね?

桧山ッチのバッチャンが遣ってる韓国料理の梨泰院(イテウォン)でスタッフ達と一緒だけど、皆良い感じの仲間だから、気遣い無用だからさ!』



「わかりました。

それじゃあ今日は、宜しくお願いします。」



『じゃあ、もう一回ラストな!

リハーサルやるよ~!

今日は、6万人の観客だからってビビんなよ!

じゃあ、先ずは

《Just Only Love 》

から行くぜ!』



ナイトメアが活動を再開して2年、ビジュアル系バンドの面影を少しだけ残して、ちょっぴり落ち着いたロック系のバンドに形態を変えている。


どちらかと言えば、日本人好みのロックになったのだ。



しかし、やっぱりライブではパンチの効いたナンバーも出てくるから、ナイトメアのファンはライブには凄い人数が集まるのだ。


観客の中には、以前ナイトメアが遣っていたスタイルのコスプレをしてくる客も未だに多いのだ。



「後30分程で始まりますね!」



『いゃ~!今日は、いつも以上に入ってるね!

6万5千人入ってるそうだよ。』



「サッポロの時は10万人ライブやったんですよね?

びびるでしょ?」



『そんな事を、考えられなくなるくらい燃えるよ。』



「そろそろバックステージに移動しなくって良いんですか?」



『大丈夫、大丈夫!

のんびり構えてなさい。

開演5分前くらいに行けば良いの!』



「マジッスか?」



『マジッスよ!

ハハハ‥‥‥‥!』



「何か、俺等のライブん時とエライ違いですよ。

俺等って、なんやかんや言われながらも、キッチリ30分前くらいにはスタンバイしてましたから。」



『固すぎるの!』



「いゃ~、Seijiさんが緩すぎるんだと思うんですが。」



結局、メンバーに見守られながら、ギリギリ迄楽屋でダベっていたが、俺とKYUは気がきじゃなかった。