あれから6週間、今日は6回目のアボジ(親父)の癌細胞を摘出する日だ。



アボジは、検査入院をするからと家を出た。



そして、俺と共に俺のマンションに遣ってきたのだった。



ソナやソラには、今日はマンションに清掃業者が入るから来ない様にと言ってあるから問題はない。



アボジの体内から、癌細胞を瞬間移動で摘出していくのだが、今日は違っていた。



何度やっても癌細胞が取れないのだ。



もしかしたら、完全に癌細胞がなくなったのかも?



仕方がないので、アボジ(親父)と共に病院で検査してもらう事にした。



そう言えば、



『最近さぁ、めちゃめちゃ体調が良いんだよなぁ。

もしかして、胃ガン治ったかもよ!』



なんてうそぶいていたのが1週間前、あれから今日までふつうに食事もとっていたし、抗がん剤治療もやっていたから、その副作用で病人のような見た目とは裏腹に毎日元気に過ごしていた。



「今回、協力してくれる病院って知り合いなの?」



『西新宿5丁目にうちのテナントビルが在るだろ?』



「あの5階建ての第7NSMビルですよね。」



『あぁ、あそこの2階に外科病院が入っているんだよ。』



確か、1階にコンビニとドラッグストアと生活雑貨屋の3店舗入っているのは知っていたが、2階に外科病院って記憶に無かった。



「いつからそこって病院が入っているの?」



『もう結構前だぞ!

確か、3年ぐらい前からだったかな!』



「案外、気を付けて見てないと、分からないもんですね。

病院があったなんて今知りましたよ。」



『まぁ、特にチャンスは健康だから、ほとんど病院のお世話になること無かったもんな。

2年前に階段から落ちて入院したのが、人生初の入院だもんな!』



「そうですね。

怪我や病気にはほとんど縁が無かったです。

これも、力のお陰かなぁ?」



『かもな!

兎に角、その和久井外科って病院は、かなりの設備が整った病院で、個人病院の中じゃあ結構しっかりしているんじゃないか。

そこの和久井先生って言うのは、前都知事の和久井康平の甥っ子だよ。』



「そうなんだ。」



『元々が金持ちのボンボンだけど、根は真面目で腕の良いドクターだよ。

それに、彼が独立する前は関東純風会病院で働いていたんだけど、派閥争いが嫌で独立したんだよ。

その時、俺は飲み過ぎで体調崩してその病院にいたんだ。

彼の辛そうなビジョンが見えて、俺からも独立を勧めたんだ。』



「そんな経緯があったんですか。」



そして、漸く着いた和久井外科。



癌の疑いがあるかもしれないって前置きをしてからの詳しい癌検診を行った。



4時間後、全ての検査が終わり、結果は来週ってことで、その日は病院を後にした。






そしてやって来た検査結果の日