瀬戸先生の説明を聞く限りでは、どうにかなりそうに聞こえてくるが、実際問題そんなに簡単なものではない。
もし仮にリンパ節にまで転移していた場合、絶望的である。
そうこうしていると、ソラ(俺の妹)と一緒にオモニ(お袋)が着替えて病院に戻って来た。
その後、看護師が病室にやって来て、後1時間程で手術室の方に移動しますからと伝えてきた。
「お兄ちゃん、アッパ(パパ)大丈夫なんだよね?
絶対に助かるよね?」
『心配しなくてもアボジ(親父)は強いんだから、心配しなくても必ず元気に治って‥‥‥‥って言いたいけどね‥‥‥‥今回ばかりは神に祈るしかないや!』
「お兄ちゃん!
どうしてよ? アッパ(パパ)何も悪いことしてないのに、どうしてこんな目に‥‥‥‥‥
これから私達どうするのよ?
まだまだアッパ(パパ)には長生きして貰って、親孝行だって、まだ全然出来てないし‥‥‥」
涙をぼろぼろ流しながら、俺の袖をギュッと握り締めたまま、最後は言葉になっていなかった。
俺は妹の頭を撫でてあげながら、
『ソラ、俺だって出来ることなら、代わってあげたいくらいなんだけど、こればっかりはどうにもならないんだよ。
オモニ(お袋)だって我慢しているんだから、兎に角‥‥‥今はアボジ(親父)に1日でも長く少しでも苦しまないようにサポートしてあげなくっちゃ!』
「ヨボ(アナタ)?
具合はいかがですか?
痛いところはないですか!」
と言いながら、アボジ(親父)の背中をさすってあげていた。
『ヨンミちゃん、ありがとー。
背中擦ってくれただけで、物凄く楽になるよ。
ちょっと横になって良いかな?
悪いけど、暫く寝させて貰うよ。
昨日いろいろ考え事をしてたから、眠くなっちゃった。』
なんて嘘吹いている。
昨晩は、痛みが酷くてまともに寝れなかったんだし、今は病気が体を眠らそうとしているのだ。



