報せを受けてやって来た東京医大病院。



極度の過労から来る貧血で倒れたと言う担当医。



一応、詳しい検査をして何も無ければ2~3日で退院出来るそうだ。



オモニ(お袋)の実家の仁寺洞(韓国家庭料理のお店)で別れたあと、妹のソラとアボジ(親父)は、KYUを交えて楽しく話をしていたそうだ。



そして、向かえの代行運転サービスがやって来たので帰ろうと立ち上がった瞬間、ソラとKYUの目の前で倒れたんだそうだ。



オモニ(お袋)が救急車を呼んでいる間に、ソラが俺に連絡しで、その時KYUはアボジ(親父)の頭を動かさない様に固定しながら、ネクタイを緩めたり呼吸を確認したりしていたそうだ。



なかなか頼りになるヤツだ。



3時間程した頃、アボジ(親父)が目を覚まし、オモニ(お袋)も漸く落ち着いた。



さっきまでは、まるでオモニ(お袋)の方が病人の様に真っ青な顔をして、震えていたのだ。



「ヨボ(あなた)、大丈夫ですか?」



『心配かけてゴメンねヨンミちゃん。

ちょっと寝不足だったからフラッとしただけだから。

もう心配無いからね!

驚いたかい?』



「当たり前でしょ?!

どれだけ心配した事か。

貴方にもしもの事があったら、私も後を追うつもりだったんだからね!」



『アボジ(親父)は、少し働きすぎだから、ゆっくり休めるときに休んどいて下さいね!

オモニ(お袋)は、物騒な事を言わないでアボジの看病宜しくね!

アボジ、急ぎで遣っとかないといけないものって有りますか?』



「本社の方は、副社長に任せておけば大丈夫だし、こっちも当面は大丈夫だろう。

何か有れば、李支社長と相談しながらやってくれ。

兎に角、今は疲れたからグッスリと眠りたい。」


『分かりました。

それでは、ゆっくりと休んどいて下さい。

後で白川GMが来るそうですので。

失礼します。』



と言って、病室をあとにした。




その階の詰所で、宜しくお願いしますと挨拶をしてから、1階におりた。



KYUとソラを実家で降ろしてから、2~3日分の入院中の着替えとか、歯ブラシからコップ、箸やスプーン、タオルやティッシュペーパー等、必要なものをバッグに詰め込み、ふたたび病院に向かった。



「オモニ(お袋)、アボジ(親父)の着替え持ってきたから!」



『あら、ありがとー!』



「アボジ(親父)は?」



『今、診察室。』



「容態が悪化したとか?」



『そんなんじゃなくってよ。

MRIとか、心電図とか、何か検査をしてるのよ。』



「そっかぁ!

オモニ、今日はここに泊まるんでしょ?」



『そうよ。』



「今日、KYUはうちの実家に泊まって貰うからな!

ソラが一人だけだと不安がるから。」



『そうね!

あの人には、黙っとくわ。

心配性だから。』



「そうだね。

ソラの事だったら、病気だって事を忘れて飛んで帰りそうだもんなぁ!」