彼女は、


『ハイ!』


と、しっかりとした口調で返事をし、お辞儀したついでに先ほど落としたスケッチブックを拾いあげた。


俺は、彼女からスケッチブックを手に取り、先程書かれたページを破り懐に仕舞った。


そして、一礼して


「お邪魔しました!」


と言いながら、彼女の頭の中へ


「今日のこの出来事や俺が来た事は、この扉を閉めた瞬間に忘れてください。

それから、貴方は話せる様になった。」


と命じて扉を閉めた。


俺は、階段を降りながら笑っていた。


単純に考えれば分かる話だ。


まさかの妹だった!


藤本教授に笑われて仕舞いそうだ。


それじゃあ、頑張って仕事に行きますか!


自分自身に気合いを入れ直して、愛車に乗り込み、音楽番組の収録に向かった。