「まだ、その現場を見た訳じゃないですが多分そうじゃないかと思われます。」


『彼の住んでいる所は分かるのかい?』


「はい…

でも、教授が行くと話が一気にややっこしくなりますので、私がそっと調べて確認してから娘さんと話し合って下さい。

それまでは、まだ何も知らない風にしておいて頂けますか?」


『分かった。

じゃあ宜しく頼むよ。』


「分かりました。

2~3日中に報告致します。」


『高山君も仕事も忙しいだろうに、無理言ってすまんねぇ!

どうも父親って言うのは、娘の事となると、落ち着いて物事を考えられなくなるみたいだ。』


「その気持ち、良く分かります。

私の父も、娘の事となると見てて面白いくらい取り乱したりしますから。」


『そうだろう。そうだろう。

父親って言うのは、そう言う生きもんだよ。』


「ハハァ……

それじゃあ、俺の妹も嫁ぐ時には一騒動有りそうだなぁ。」


『妹さんは、たしか高校3年生だったね?

年頃の娘さんだから、親子さんも気が気でないだろうにねぇ。』


「妹自身は、そんな事何とも思って無いから、父も余計に気をもんでますよ。」


『それに比べて母親って言うのは、案外娘の事は気にやまないからなぁ。』


「やっぱり母親っていつも娘と会話しているから、娘の事を理解しているんですよ。

藤本教授も、常に娘さんと会話していたら、もっと気が楽になりますよ、きっと!」


『そう思った時には、もう嫁に行くと言う訳だな!』


「大学の心理学の授業でも、親子のコミュニケーションに付いてやりますが、こんな事は教えてくれませんですからねぇ。」


『それは、霜山教授にお願いしないといけないな!』


「デスよね!

それでは藤本教授、今日はこれで失礼します。

4コマ目が有りますので!」


『あぁ、分かった。

連絡待っているから。』


「了解しました。」


俺は、深々とお辞儀をしてから、午後からの4コマ目の授業を受け、一旦マンションに戻って着替えてから、鶴海の住むマンションへと向かった。