『おいら知ってるよ~ん!』


「ジョージ知ってるの?」


『ほら、あの、Native Gardenのキーボードだろ!』


「アッ、そっかぁ!

どっかで聞いた事のある名前だと思ったんだ!

ところで教授、鶴海秀夫がどうかしたんですかぁ?」


『いゃあ…

実はなぁ…』


「煮え切らないですね教授!

何でもおっしゃって下さい。

これでも一応口は堅いですから。」


『実はな、うちの娘が居るだろ?』


「秋菜さんですよね!

TIAの専属モデルだった。」


『あぁ、実はその娘の秋菜が、結婚したい人がいる。

一年半くらい前からつき合いだして、最近になってプロポーズされたらしいんだよ。

それでだな、来月の7月の最初の日曜日に、その鶴海秀夫って奴がおれんところに挨拶に来るって言うもんだから、どうすりゃ良いかと思っていたんだが。

一応芸能人だって言うから、君達の事を思い出してな、そんでもって聞いてみたってわけだよ。』


「鶴海秀夫かぁー

あんまり良く知らないんですよねぇ。


ジョージ、何か知ってる?」


『鶴海秀夫って言うか、Native Gardenは、14~5年くらい前にインディーズで遣ってたのを、10年くらい前に自分達でレーベルを立ち上げて、メディアにはあんまり出ないけど、地道なライブ活動で年間100回くらいライブしてるって聞いたことあるよ~ん!』


「年間100ライブ?

すっげー!

3日に1回はライブしてるって計算になる。

そんで、鶴海に関しては?」


『鶴海秀夫は、確か元々チーマーってのを遣ってたのを、今のリーダーの高橋さんが拾って、育てたって言ってたよ~ん!』


「チーマーかぁ。」


『それと、あのバンドは以前に渋谷のカラーギャングと揉めて、傷害事件を起こして、1年間の活動停止処分を今の事務所からうけているじょ!』


「どこの事務所なんだい?」


『彼らは、大野音楽事務所だよ~ん!』


「大野音楽事務所?

マジかよ?!」


『大野音楽事務所ってチャンス知ってるの?』


「知ってるも何も、大野音楽事務所って言えば、社長の大野誠一郎の弟の大野京次郎が、あの仙田組の幹部で、自分も港区に大野組の事務所を構えている、武闘派で有名な組事務所なんだ。

その大野組と大野音楽事務所はつながっているって、もっぱらの噂なんだ。」