CHANCE 2 (後編) =Turbulence=




結局、俺とソナはそのまま新宿の新星MUSIC日本支社で、新宿スタジオの1階部分の設計図の青写真を見たり、新大久保に在る韓国の家具屋のホームページを見たりしているうちに、お昼になっていた。


お腹が空いたので、直ぐ近くに在る韓国ダイニング《梨泰院》(イテウォン)で食事をする事になった。


ここは、桧山マネージャーの実家なのだ。


アボジ(親父)や白川GMや千葉店長など隙をしている人達まで付いてきて、結局14人になって仕舞った。


梨泰院(イテウォン)に着いたら、桧山マネージャーが小柳杏奈さん(新星MUSICの売れっ子アナウンサー)と一緒に奥のテーブルに座って結婚式の日取りを決めたりしながら楽しそうに過ごしている。


『ヨッ!桧山マネージャーに小柳アナ!』


「高山社長!

それに星川部長まで。

大勢でどうしたんですか?」


『小腹が空いてな!

皆で梨泰院(イテウォン)でランチしようって事になったのさ。

大座敷は空いてるかい?』


「ちょっと待って下さいね!

ハルモニ(お祖母さん)、大座敷って予約入っていますか?」


『大丈夫だよ!』


「社長、大丈夫だそうです。

こちらの階段で2階に上がって下さい。」


『お邪魔するよ!』


と言って、俺達総勢14人は靴を脱いでゾロゾロと2階へ上がって行った。


「千葉店長、以前本堂店長や西川店長から、スタジオのお客さんが減ったってきいているんですが、本当にそんなに減っているんですか?」


『チャンス君、酷いもんだよ。

バンドブームの時には、待ちが出るくらい忙しくてさ、週末なんか1部屋最長3時間迄とかにして回していたのに、今じゃ待ち時間無しで、何時間でも大丈夫なくらい酷いよ。

かといってフリータイム制にする訳にはいかないし。』


「そうすると、1階部分のテナント料も貴重な売り上げなんですね!?」


『そうなんだよ。

特に、テナントがコンビニとか食べ物屋さんだと、助かるんだよなぁ!

在るのと無いのでは、スタジオの入りにも違いが出てくるんだよ。』


「そうでしょうね!

俺達でも、ヤッパ練習の後には何か食いたいし飲みたいもんなぁ。」