美racle/Ladyのプロデュースもいよいよ大詰めを向かえていた。
ナイトメアのSeijiさんからの誘いで、復活ライブの最終日は東京ドームでXYZも駆けつけてのお祭り騒ぎで盛り上がって興奮状態のまま、殆ど眠れなかった。
しかし、
翌日は美racle/LadyとXYZの4枚目のCDの収録が近ずいているため、午前中からスタジオに籠もってひたすら練習していた。
夜からはラジオの生放送もあるが、もうすでに昼過ぎから集中力も切れて、睡眠不足からくる偏頭痛すら感じ始めていた。
一旦休憩を挟んで、1階に降りてSpot Lightで食事をとることにした。
隣のスタジオにいる美racle/Ladyにも声を掛けて、トコトコと階段を降りていた。
と、その時、不注意にも階段を踏み外してしまい、真っ逆さまに階段を転がり落ち、1階のロビーの床に頭を打ち付けてしまった。
やべー!やっちまった!
と、その時一瞬思ったが、直ぐに意識を手放してしまった。
遠くの方で、
『チャンス!大丈夫か!』
「オーイ!誰か救急車呼んで……」
『大変だ! 出血しているぞ…!』
と、聞こえていたような…
いったいどれくらい眠っていたんだろうか?
気が付けば病院のベッドの上であった。
「おはようKYU君。
何時間寝てたかなぁ?」
『ヒョン(アニキ)、何言ってるんですか!
3日間も眠ったまんまだから、凄く心配したんですよ!
取りあえず看護婦さん呼びますから。』
と言って、ナースコールのボタンを押した。
『どうされました?』
『チャンスさんが目を覚ましました。』
『分かりました。
直ぐ向かいます。』
と言って3分もしない内に担当の看護婦さんがドクターと一緒に遣ってきた。
『チャンス君、自分の名前と生年月日を言えるかね?』
「はい。
高 長寿(コ・チャンス)、7月7日生まれの二十歳です。」
『何があったか覚えていますか?』
「たしか、本郷のスタジオの2階から食事休憩の為に階段で1階に降りようとして…一瞬目眩がしたと思ったら…そうだ! 足を踏み外してしまったんですよね!」



