『こんなところに閉じ込めて、何をするきだ?』


「ちょっと待てよ!

俺、そんなに広東語は得意じゃ無いから、ゆっくりしゃべってくれよ!」


『だから、俺をどうするのだ?』


「何も心配無いから!

直ぐに仲間のところに返してあげるから。」


『何が目的だ?』


「目的?

そうだなぁ…

あんたに色々と聴きたいこともあるし、取り敢えずあんたらのボスに付いてしゃべって貰おうかなぁ?」


『お前、バカじゃ無いのか?

誰がしゃべるかよ!

俺を見くびるんじゃ無いぜ!』


「いいから、いいから!

大きな声出さなくても聞こえるから。」


と言いながら、俺はこの男の頭の中へ直接話し掛けた。


(『お前らの組織に付いて知っている事をしゃべるんだ!』)と命令した。


「俺たち青紅会は、香港に本部を置くマフィア組織で、今は中国本土でのし上がる為に………」


30分後、大まかな彼等の計画の全貌が見えてきた。


やはり、俺たちが掴んだ情報を元に予測していた通りであった。


『俺、いったい何故しゃべってしまったんだ!』


「気にしなくて良いから!

聴きたいことも聴いた事だし、もうすぐ返してあげるから。

後少し待っててくれるかい?」


『ふざけた事良いやがって!

もう出て行かさせてもらうぜ!』
 

と、またもや大声を出して騒ぎ出したので、静かにするように、直接頭の中へ命令したら、一気に大人しくなった。


そして、今一度その男の頭の中へ直接命令した。


(「お前は、今から仲間の所に戻って貰おう。

そして、今晩出航する洙叡丸で香港へと帰還したら、二度と戻って来ないように、組織の中で内紛を起こして、組織の結束力を壊してしまえ!」)


本当に、こんなので上手くいくのだろうか?


未だに信じられない自分の力!


兎に角、今は信じて様子を見よう!


俺は、男を残して部屋を後にした。


男には、俺が部屋を出てから5分後に立ち上がって部屋を出るように頭の中へ命令してある。


ロッテワールドホテルから少し離れた所から見ていたら、先程の男が慌てて出て来てタクシーに乗り込み走り去って行くのが見て取れた。