「それじゃあ、今彼等の居場所も…」



『あぁ、分かるぜ!

奴らの幹部の一人は、先程捕まえてロッテワールドホテルの一室に居るそうだ。』


「わかりました。

それじゃあ、直ぐにホテルに向かいます。」


車を走らせ20分程でロッテワールドホテルに到着した。


俺は、裏側の社員専用通用口から入って行った。


勿論、力を使って守衛さんの記憶に残らないようにした。


監視カメラにも横を向いて貰い、アッサリと侵入成功である。


そして、アボジ(親父)から聴いていた部屋番号についたら、軽く三度、そして強く二度ノックをしたら、中から以前ケンカをした事のある、テギル君の元兄貴分の徐氏(ソさん)が現れた。


『お久しぶりです、チャンスさん。

どうぞ中へ!』


「ソバン派の若いのが動いてくれてるって聴いていたけど、まさか徐氏とは、変な縁だな!

ところで、青紅会の幹部は!?」


『奥のソファーでぐっすり眠っていまさぁ!』


「体に傷つけて無いだろうな!?」


『ボスから言われてますから、ちゃんと無傷で捕獲しましたさ!』


「睡眠薬は、後どれくらいで切れるんだい?」


『まぁ1時間くらいで醒めると思いまさぁ!』


「わかった!

後は俺がやるから、徐氏は帰ってて下さい。

今日は助かったよ!

この事は、他言無用でお願いします。

知っているのは、徐氏と金親分だけで!」


念を押して言うと、徐氏はわかった!わかった!と頭を下げながら、部屋を出て行った。


青紅会の幹部を縛りあげている縄を解いて、鼻先にアンモニアの入っている小瓶の蓋を取って近付けた。


一瞬ビクッと小さく痙攣して、その男は露骨に嫌な顔をしながら鼻を塞ぎながら体を起こし、目を開いた。


と、その瞬間こちらに気付き、慌てて立ち上がった。

懐に手を突っ込んだので、多分拳銃でも取り出そうと言うのだろう。


が、残念ながら先程徐氏(ソさん)が、抜き取って持って行ってしまっている。


俺は、ゆっくりとした広東語で、


「何も危害を加えないから、安心してもう一度座りなよ!」


『お前は誰だ?

ここはどこだ?』


「ここはロッテワールドホテルの中の一室だよ。

俺は、あんたらが狙っていた新星音楽公司(新星MUSIC)の高だよ。」