いつもは人が玄関に来るだけで、ワンワンと、嬉しそうに駆け寄ってくる愛犬が、今日に限って吠えもせず、走ってくることもない。
三月は、愛犬の名前を呼びながら、探し回る。

2階に上がり、コタツをめくると、そこには、怯えて震える、愛犬の姿があった。
一安心して、愛犬と一緒に自室に行くと、また大きな地震が来た。
三月は、大きな揺れに耐え切れず、崩れるように倒れた。
運が悪いことは続くもので、三月の前にあったタンスが三月の足に直撃した。