「歩夢・・・」


遥夏は静かな部屋の中で自然にポツリとその名前を呼んでいた。


メールの内容を見てみると次のようなことが書かれていた。


『遥夏、あたしのこと覚えてる?

まぁ遥夏があたしのこと忘れるわけないよね?

だって死ぬまであの重荷を背負っていくんだもんね♪

きっとびっくりしたでしょう?

そりゃそうよね

だってあたし、死んでるはずだもん♪♪』


『♪』の絵文字が多いこのメールの書き方・・・確かに歩夢だ・・・




でもどうして・・・・・・・・


歩夢は確かに死んだはずだ・・・



『どういうつもりだ、おまえは誰だ

歩夢は死んだはずだ。

面を被るな』


遥夏は慣れた手つきで文字を打ち、返信した。


1人でいると気味が悪くなって1階のリビングまで警戒しながら階段を降りた。



「あっ、兄ちゃん遊んでよ!」


リビングで走り回っていた弟の海斗(かいと)がズボンの裾を引っ張ってきた。


気分を転換することもいいかもしれない。



「ん、いいぞ」