美樹はずっとよしよしと言いながら私の頭を撫でてくれていた。


私はきっとこんなかけがえのない"親友"という存在ができたから泣いてるんだと思う。



心の底から何か大きなものが押し寄せてきたんだ。



「わ・・・・たし・・・・ひっ・・・み・・・きに・・・ひぐ・・・・出会えて・・・・・よか・・・・よがったぁ・・・!!」



「うん、あたしもだよ、千尋。



あんたみたいに泣いてくれるような人はそうそういないしね・・・」



その時私たちの耳に聞こえた蝉の鳴き声は夏の始まりを教えてくれているようだった。


ようやく私が泣き止んだところで美樹はゆっくりと私から離れた。



「一人で帰れる?」



「うん、子供じゃないんだから」



「そうだね、じゃ、気をつけてね!」


美樹はこっちに手を振って歩いていった。



私も手を振って夕日でオレンジ色に染められた道をゆっくりと歩き出した。