「ここ!」


「おっ!着いたか!・・・にしても随分グネグネだったな~。」

「んじゃ、案内ありがと!また会ったらいいね!じゃね~!千尋ちゃん!」


「はい、そうですね。」


私は苦笑いで2人を見届けた。


「案内さんきゅな!」


椿くんもそれだけ言って美樹さんのあとを追いかけていった。


美樹さんは椿くんもお構いなしにマイペースで先々進んでいた。

面白い2人だったなと思いながら家に帰った。帰ると珍しく母さんがいなかった。


「千恵~!」

返事がない。


「千恵~?」

千恵の部屋にいってみると千恵は布団の中で丸くなって眠っていた。


「ただいま。」


囁くように言ってそっと千恵の部屋の扉を閉めた。

私はそのまま自分の部屋に行き、制服を脱いでいると、机の端っこにある携帯の光っているランプが目に止まった。


珍しく私の携帯にメールが来ている。


携帯を開くと母からメールが1件届いていた。


『今日ママちょっと仕事の都合で遅くなっちゃうから千恵と千尋のご飯、千尋が作ってくれる?ごめんね。お金はリビングのテーブルの上の文鎮の下にあるからね』


母さんにメールを送ろうと電話帳を開いた。


電話帳の中に入っている名簿はただ1人、母さんしかいない。