なんとそこには何十匹もの蜘蛛(くも)を腕や手、足に乗せて笑っている少女がいたのだ。


「・・・おい、あれがそのあゆむか?」


椿が肘で遥夏の腕をつついて小声で囁く。


「・・・・・・俺にもわからない・・・」


遥夏はぼそっと言って少女に近づく。


少女は小川のすぐそばにある大きな岩の上に腰掛けて相変わらず蜘蛛と遊んでいるかのように見える。


「・・・」


少女はようやくわたしたちの存在に気付き、顔をあげた。


「あら、遥夏、学校は?」


「おまえこそここで何してるんだ」


「見てのとおりよ?蜘蛛と遊んでるのよ」

「・・・遊んでる?」


「言ったじゃない。最近は友達と遊んでるって」