「なっバナナ蒸しパンが売り切れだと!?」

「ごめんなさいね。さっきの子で最後だったのよ」

「構わないっすよ。ほら中二チックな反応してんなナツ」
「はーい」

「じゃどれにするかい?」

「そうっすね。じゃレーズン蒸しパンとチョコチップ蒸しパンで」
「はい。二百四十円」

「どーもっす」
「…チェリーってぶつぶつしてんのが好きなの?」
「は?」
「レーズンとチョコチップ」
「あぁ。別に」
「そっ」
「それよりお前変な反応すんなよな。購買のおばちゃん困ってただろ?」
「ノリだよノリ」
「はぁ」

「あの…!」

「「?」」

「桜木くん、これサービスです…!お、おばちゃんがバナナ蒸しパンが買えなかったみたいだから、って、桜蒸しパン、新作です!」
「…あっどーも。いいんすか?」
「はいっ。もちろんっ」

「…。ありがとっす」

「じゃあっ」ペコッ

「…」
「たしか購買のマドンナかおりさん?購買のパンの店の娘さんだよね。たまーに手伝いしてるよな。大学生だっけ?」
「知らねぇ」
「え?お前に気ィあるんじゃねーの?」
「は?誰だかも知らねェぞ」
「でもお前の名前しってぜ」
「…なんでだろうな」
「…おい」