虹色の三日間


「成る程な。」

そう言うと不思議系男子はフラフラと二つ離れた席に戻っていった。俺は男女関係なく下の名前で呼ぶ。いくら地味でもね。梓は別格、下の名前で呼ばないって自分で決めた。


森本由香、中学が一緒だった。一年生の頃は存在すら知らなかった。二年生の二学期になって同じクラスにいる根暗の女子の名前が森本由香だと知った。興味なかったしどうでも良かった。


放課後、珍しく一人で帰ろうとして玄関に向かったら森本由香がいた。昔はどんくさいやつだったからさぁ、キャッとか言いながら転けるんだよ。急にね。俺は優しく明るい前田宏樹君だったから笑顔で手を差しのべたらさぁ、


「いつもニコニコして気持ち悪い。作り笑いして、キャラ作って、人気者になって楽しい?自分出さずに他人に受け入れて貰えて嬉しいの?私は気持ち悪くて絶対嫌。そのまんまの自分を受け入れてくれなくったって構わない。私は私だもん。」


「はぁ?」


急にべらべら喋ったと思ったら俺の手をはじいて立ち上がってさぁ。


「自分を出さない前田君に助けてもらいたくないの。根暗だと思ってたんでしょ?なりたいからなってんの。私は三年生になってから変わるの。じゃあ。」