虹色の三日間


「そ、そんな風に周りの人たちを見ていたのか?沢田が中心になってやってくれた送別会。嬉しいって言ってたじゃないか。泣いたじゃないか。あれは、嘘だったのか?」


「あれも演技。嬉しそうにするとみんなコロッと騙される。私のために人が動くことが嫌いって言ったでしょ?綾香にとって私は引き立て役。見てて分かるでしょ?」


…確かに、彼女は沢田の引き立て役だった。活発で美形な沢田に、平凡な山本。二人でいて引き立つのは沢田。

でも


「沢田はそんな風に思ってなかったかもしれない。本人に聞かないと分からないだろ。」

「分かるよ。嘘で固められた所にいれば、嫌でも分かる。いつか綾香に聞いてみれば良い。私の代わりはいくらでもいる。そんな人間に価値なんかないでしょ?」


そう言って後ろを向いて自分の席に帰ろうとしている。俺は、何でかムカついてきて、


「……っつ、何だよ!自分だけ悲劇のヒロイン気取りか?親に捨てられたから、自分の価値を分かってる。とかさ、意味わからんし!」


彼女の動きが止まった。