「 ・・・浜坂 」




朝の、満員電車の中。
不思議なことに、
顔をあげると、三上さんがいて
すごくすごくすごく不機嫌な顔で
あたしを見下ろしていた。





「 アイツが怒るな 」





大きな溜息が聞こえたけど
あたしにはよく分からなくて





「 きゃっ・・・ 」





電車が揺れるたび、人と人が
ぶつかって、押し流される。
その度に三上さんがあたしの腕を
引っ張って自分へ引き寄せて
転ばないようにしてくれるけど、





「 んんっ 」




その度、勢いづいて三上さんの
胸元に激突。




「 ・・・またか・・ 」




目の前には口紅の、
・・・ある意味、キスマーク。




「 こういうのは首がいいんだけどな 」




そう言って、あたしの首を指でなぞって
”また見えてるけど”と笑った。