黒猫*溺愛シンドローム




……一体、何なわけ?



料理を中断して、

“わざわざ”、荷物のある王子'sルームまで来て、

カバンの奥底からブレスレットを探し出して見せたって言うのに…



「………。」



それを見つめたまま、動かなくなっちゃったよ。


何?なんで?

切れたのがそんなにショックだったの?

私としては、邪魔なものが取れてかなり清々してるんだけど……。



「ね?“自然に”切れてるでしょ?」



切れ目を指して、アピールする。

ブチッと。
見事に割けているものの、人道的な切れ方じゃない。


「私は何もしてないからね?勝手に取れちゃったんだから。」



未だ放心状態の王子様に念を押して。

キッチンに戻ろうとドアに手をかけた…とき。



「……叶ったんだ?」



後ろから聞こえてきた意味不明な言葉。

振り返ってみれば…



「……え?」



何?なんで、そんなに嬉しそうな顔してるの?

キラキラと、無邪気に瞳を輝かせて…って、そう。

あのときと一緒。

“カリン”のことを初めて私に話したとき…と。











「……じゃあ、もういいよね?」