黒猫*溺愛シンドローム




「そう言えば、さっきから気になってたんだけど…」



“人間”になるべく、再び包丁を握り直して。

野菜くらい切れるんだから…と意気込む私に、再び注がれる視線。



「アレは?」



そして、意味不明な発言。

アレって何?

首を傾げると…



「付けてないよね?ほら、あのブレスレット。前にあげたやつ…」



ああ。あれか。

だいぶ前。

寝てる隙に付けられた、趣味の悪ーいブレスレット…って言うより“腕輪”?

“カリンとお揃い”とか言われたやつ…



「切れた。」


「……えっ?」


「あ…“切った”んじゃないからね?自然に切れたんだよ?」



呪いだとか脅されたし?

何より、どんなに頑張っても取れなかったから。


すごーく不本意だったけど、ずっと付けてましたよ。

ごく最近まで、ね。



「え…いつ??」



なんで、そんなに驚いてるんだろう?

もしかして、疑ってる?



「いつって…何日か前?

……あ、見せようか?確かまだカバンに入れっぱなしだったと思うから。」