黒猫*溺愛シンドローム





「……っ。」



カンチガイ、してる。

勝手な思い込みだよ。


別に…

私は1人でも平気だし。

今までだってそうだったし。

お兄ちゃんの存在なんて、忘れてたくらいだし?


寂しくなんか……






ってダメだ。


私ってば、なんで泣きそうになってるんだろう?


なんで




コイツに気づかれちゃったんだろう?






「今夜は、くるみちゃんも修ちゃんも帰って来ないと思うんだ。」


「……え?」



ぎゅっと唇を噛み締めて。
俯いて歩く私に歩調を合わせて。

王子は言った。



「ほら…先輩のさっきの電話、たぶんくるみちゃんだから。」



あー。確かに。

明日は休みだし。
くるみのことだから、泊まり…かもなぁ。



「修ちゃんは、弟さんの誕生日だから、家族で旅行…とか行ってたし。」



…そっか。

北原家は、子供のイベントは派手なんだよね。

今年は、あのねずみのテーマパークのホテルに泊まるって言ってたっけ。



「だから…俺の家に行こう?」