「うっ…」
彼女の氷のようなひと睨みによって、口を閉じたお兄さん。
言い合いは、一旦終息。
今がチャンスだ。
「あの…」
黙り込むお兄さんに呼び掛けて。
「そういうわけで、よろしくお願いします。」
俺は頭を下げた。
「……は?」
ぽかーんとされちゃったけど…
「将来的に、俺は浅海さんと結婚することになるので、お兄さんとも長いおつき合いになるかと…」
さっきの話。
俺としては、まだ終わってないんだよね。
「はぁっ?」
俺の言葉にいち早く反応したのは彼女で。
「ちょっと、何勝手なこと言って…」
血相を変えて掴みかかってきた。
慌てふためく姿が、これまた可愛らしいんだけど。
「だって、それが自然の流れでしょ?」
俺の襟元を握りしめる彼女の指をゆっくり絡み取って。
まっすぐに見つめながら続ける。
「俺は浅海さんじゃなきゃダメで、浅海さんは俺じゃなきゃダメなんだから。」

