「あー…そっか。わかったぞ!」
しばしの沈黙の後、何かを閃いたらしいお兄さん。
「“特定の”彼女は作らなかったんだな?」
……ん?
「ほら、“来る者は拒まず、去る者は追わず”?」
「……それは、お兄ちゃんでしょ?」
ぼそっと聞こえた彼女の声。見れば…
「これ以上、余計なことは言わないでっ!」
こそっと、でもかなり低い声で言われてしまった。
……怒ってる?
でも、余計なことって…どこからどこまで?
「いえ…俺は、今まで女の子とつき合ったこととかなくて…」
「男が好きだったのか?!」
「や…そうでもなくて…」
「じゃあ、あれか?“練習”だなっ?」
「へっ?」
「今後、女とつき合うときのために…風歩あたりで慣れておこうと……」
「違いますっ!」
……いけない。
つい、大きな声を…
「俺は…」
気を取り直して。
ちゃんと説明しないと。
「浅海さんのことが、好きなんです。」

