黒猫*溺愛シンドローム




「そっかー。そうだよな。
たまには、違うタイプとも試してみたくなるよな?」



うんうん、と。
勝手に納得しているお兄さん。

……ん?よくわかんない。



「お前…って、名前なんだっけ?」


「風見歩です。」


「おー、歩ね!」



いきなり名前、なんだ?



「お前、モテるだろ?
そのルックスだもんなぁ。
今まで、女に不自由したことない…つーか、途切れたことないだろ?」


「へ…?いや…」


「何人くらい?」


「……?」


「今まで、どんだけの女とつき合って来たんだ?」



どんだけ、って…

興味津々って感じで俺を見ているお兄さん。

なんか、すごーく勘違いされてる気がする。



「……“初めて”ですけど。」


「へっ?」



うわぁ…目がまん丸だ。



「浅海さんが、初めての“彼女”です。」


「嘘…だろ?」



信じられない、という顔。

でも…



「つき合ったのは…って言うか、好きになったのは、初めてなので。」



これが真実、だ。