黒猫*溺愛シンドローム




「……よし、まずは、単刀直入に聞くけど、」



浅海さんを黙らせて。

分厚いノートを開くなり、俺に向き直ったお兄さん。


真面目な顔で見つめられて、思わず背筋が伸びた…のも束の間。



「コイツの…妹のどこがいいんだ?」


「……へっ?」


「だって、そうだろ?
何がよくて、こんなのとつき合おうと思うんだ?」



……えーと。

何度となく、浴びせられてきた質問。

でもまさか、お兄さんがこんなこと言うなんて…

だって、実の妹だよ?



「まぁ、確かに見てくれはそう悪くはないと思う。…俺の妹だし?でもさ、」



そう言うお兄さんは、やっぱり彼女によく似ている。


……あ。

今気づいたけど、お兄さんの髪の色が金じゃなくなってる?

かなり明るいけど茶色って言える色だし、瞳もブラウンだ。


こうやって普通にしてると、かなりの美形だと思う。

さすが彼女のお兄さん。


……って、そんな場合じゃなくて。



「俺は…「あ、そうか?!」



説明しようとしたのに…



「ステーキばっかり食べてると、お茶漬けが食いたくなるって言うもんな?」