「ラブラブなのは、わかったから。とりあえず、先に話を済ませていいか?」
ゴホン、と。
わざとらしい咳払いの後、聞こえた声。
はっとして振り向けば…
「しっかし、ホントに周り見えてないのな?なんだっけ?…“バカップル”?」
呆れたようにこっちを見ているお兄さん。
自分の分のお茶と、何やら分厚いノートを用意して、向かいの席にどかっと腰を下ろしていた。
……いつの間に?
「お…お兄ちゃ…別に、これは…」
「あー、いいって。
“つき合い始め”にはよくある症状だ。徐々に治まってくるだろ。」
「なっ…」
「お前ら、つき合ってどんくらい?せいぜい、2~3ヶ月ってとこか?」
慌てる彼女とは反対に、お兄さんはいたって淡々としていて…
しかも、鋭い。
「今が一番いい時期だからなぁ。ひと通りすませて…慣れてきた頃か?」
「違っ…まだ…」
「でも、ここが頑張りどころだぞ?飽きられるか繋ぎ止められるか…お前次第だからな、風歩?」

