黒猫*溺愛シンドローム





「ホイ。どーぞ。」



浅海家のリビング。

家に着くなり、俺と彼女をテーブルへ座るよう促したお兄さん。



……待つこと数分。

目の前に、お茶とお菓子が置かれた。

部屋に漂う、いい匂い。

うちはいつも、紅茶かコーヒーだから…この香りはなんだか新鮮かも。



「やっぱ、日本人と言えば“日本茶”と“和菓子”だよなっ」



満足気に笑いながらも、



「これで“ちゃぶ台”があれば完璧だったんだけど…。残念ながら、うちにはそんな洒落たもんはなくてさ」



お兄さんは、残念そうに呟いた。

……ちゃぶ台?



「1回、やってみたかったんだよなぁ…。昭和のホームドラマみたいに。」


……昭和?ドラマ??


「“娘はやらん!”とか言って、ひっくり返したり…」


……へっ?


「あーっ。こんなことなら買っときゃよかった。」