黒猫*溺愛シンドローム




「お…お兄ちゃんっ!!」



ついにいたたまれなくなったようで、耳まで真っ赤にして声を張り上げる彼女。

つかつかと、お兄さんのほうへ向かって行った…ものの、



「悪かったな?邪魔して。」



それをあっさりかわして、お兄さんは俺のほうに向き直った。



「……え?」


「まあ、途中でやめるのはキツいかもしれないけど…イチャつく時間は後で十分やるからさ。」



ポン、と俺の肩を叩いて、



「立ち話もなんだし。とりあえず、家に来いや?」



そのまま。

ぐいっと、肩を組んで歩き始めた。



「え…?あの…」


「ちょっと!お兄ちゃん?」



彼女を放置したまま、まるで俺を引きずるようにして進んでいくお兄さん。


……いいのかな?

って言うか、大丈夫かな?


ちらっとお兄さんを見れば、ご機嫌な様子で笑ってるけど……


ふいに、ダイスケの話が頭をよぎった。


そんなに凶暴な人にも悪い人にも見えないけど、あの話の数々は本当…なんだよね?


一体、これから何をするつもりなんだろう??