黒猫*溺愛シンドローム





「“日本の”高校生もなかなかやるねぇ」



……へっ?


背後から聞こえた声に振り返ってみれば……



「あ…」



楽しそうに笑う人物。

それは、まさに……



「お兄ちゃんっ!?」



認識するや否や、慌てて俺の身体を押し退けて。



「な…なんで、ここに?」



口元を押さえながら、真っ赤な顔でお兄さんを見つめる彼女。

かなり動揺しているのがわかる。

……まぁ、見られちゃったからねぇ。



「お前たち、本当につき合ってたんだなぁ。」



彼女の質問はスルーして、感心した様子で頷いているお兄さん。



「あまりにも出来すぎた相手だからさ、ちょっと疑ってたんだけど…
道端でそんだけできりゃ、本物だわな。」


「なっ…」


「完全に“2人の世界”だったもんなぁ。周りなんて全然見えてないでやんの。」


「そ…それはっ」



カアッとさらに顔を赤くする彼女。

涙目になってるし…

うわっ…めちゃくちゃ可愛いっ。



「そういうのを見て照れるような年でもないけどさ。

身内のラブシーンってのは…やっぱ気恥ずかしいものがあるよな。」