黒猫*溺愛シンドローム




「“パワー補給”させてくれる?」


抱きしめたまま、腕の中の彼女に尋ねる。


「……は?」

「必要でしょ?これからお兄さんに会うんだから。」


それじゃなくても、今日はもう限界。

足りてない。

だってさ…


「浅海さんってば、1日中寝てるんだもん。全然触れなかったから、エネルギー使い切っちゃったよ。」

「なっ…」

「しかも、いちいち先生たちに説明しなくちゃいけないしさ。……すっごく大変だったんだよ?」


……そう。

朝、学校に着くなり保健室へ直行。

一度も戻って来ないまま、放課後を迎えて。

実は、さっき会ったばっかりなんだよね。

…同じクラス、なのに。



「そ…それはっ、
一晩中お兄ちゃんの武勇伝を聞かされてたから…」


彼女はパッと顔を上げた。


「でも、もう睡眠は補ったわけでしょ?回復したんだよね?だったら、今度は俺の番…」


チャンスとばかりに、顔を近付けて…


「ちょっ…」


柔らかい唇を捕えた。