黒猫*溺愛シンドローム





「ちょっ…何っ?」



ここは閑静な住宅街。

基本的に、今の時間は人通りも少ないけど、一応。


彼女の身体をぐいっと引き寄せて、通りからは死角になる路地裏のほうへと移動した。

そして……


「やっ…なっ…」


ぎゅうっと、腕の中に閉じ込めた。


「な…何するのっ?
こんな…外で……人が来たら…」


言いながら、俺を押し退けようと抵抗を始めたけど…ふっ。そこ、なんだ?


思わず、笑みがもれた。

だって…


「大丈夫。誰も見てないから…」


耳元で囁いて、ついでにそこにキスを落として。

抱きしめる力を強めた。


「……っ」


案の定、暴れるのをやめておとなしくなる彼女。


あーっ。もう。

可愛いよねぇ。



“抱きしめられる”のが嫌なわけじゃなくて、それを誰かに“見られる”のが嫌、ってことでしょ?


そんなことされたら、俺だって、さすがに気づいいちゃうよ?



浅海さんは、もう

俺を拒まない。


むしろ、受け入れてくれてる…んだよね?