黒猫*溺愛シンドローム





………そして。



「いい?絶対に余計なことは言わないでよ?」


俺を見上げて、怖い顔で念を押す彼女。


「聞かれたことにだけ、答えればいいから。」


放課後。

いつものように、並んで歩く帰り道。

幸せなひと時…のはずなんだけど。



「あの人は…
自分が納得すれば、深くは突っ込んでこないから。
話題の提供とか、話の展望は必要ないからね?」


わかった?と言うように、上目遣いで見つめられて、

その可愛さに深くは考えずに頷いちゃったけど…


正直、イマイチよくわかってないんだよね。

この状況、が。



「否定するのも面倒くさいから、この際“つき合ってる”ことにしておくけど、あくまで“フリ”だから!間違えないでよ?」


つないだ手を忌々しそうに見てから、早足で歩き始める彼女。


……だから、今日は振り払うことなくおとなしくつながれたままでいたのかぁ。

まぁ、いいや。


とりあえず、ついていくしかない…よね?