「ちょっ…お兄ちゃんっ」
耳をすませば、慌てて駆け付けたらしき彼女の声。
「お前、ああいうのが好みだったのか?」
「はぁっ?」
「ああいう…
まさに、“少女マンガから抜け出してきました”みたいな男が?」
「はっ?」
「ありゃ、アイドルグループに混じってても違和感ないだろ?」
「はいっ?お兄ちゃん、何言って…」
「へぇ…すっげー意外。」
ドア越しに聞こえる2人の会話。
…俺のこと、だよね?
どうしよう?
帰ったほうがいいのかな?
それとも……
「お前、昔から興味なかったじゃん?
くるみがキャーキャー騒いでても全然食い付かなかったし。」
迷いつつも、ついつい聞き耳を立ててしまう。
だって、なんか…
「なのに、ああいうのを“彼氏”に選ぶとはなぁ…」
「なっ…違っ!彼氏じゃ…」
「心配すんな。兄ちゃんは、別に反対したりはしないから。」
「は……?」
「ただ……
少しだけ、確かめさせてもらおうかな。」

