黒猫*溺愛シンドローム





「……まさか、お前の本命が“浅海風歩”だったとはねぇ。」



休み時間。


俺のノートをちゃっかり写しながら、ダイスケが呟いた。



「我が校の“王子”と呼ばれ、ファンクラブの会員数は300人を越える…とまで言われてる、お前がねぇ」



“王子”?“ファンクラブ”?……何、それ?


首を傾げる俺のことなどお構い無しに、ダイスケは続ける。



「黙ってたって女の子が寄って来て、選び放題なのに……なんでわざわざ?

そんな難しいところに行くかなぁ?」



言いながら、ちらっと隣の席に視線を向ける。


窓際の、お日さまが感じに射し込む席。


今がちょうどいい時間帯なのに…彼女はいない。


ついさっきまで、そこでひなたぼっこしてたのに。


すっごく可愛かったのに。


いつの間にか、いなくなってたんだよなぁ……



「しかも、お前全然相手にされてないじゃん。
むしろ、嫌われてない?

浅海、この席になってからサボる回数増えたもんな。」