黒猫*溺愛シンドローム



―――――……
――――――…………






「よし。16年分、クリア。」



あの後……


俺の言動を楽しみつつも、
チャイムが鳴るまでつき合ってくれた修ちゃん。



おかげで、今日1日でいろんな“彼女”を知ることができた。



これで、だいぶ距離が近づいたはず。



今までは“好き”って気持ちだけで突っ走ってきちゃったけど、それじゃダメだって気づいたから。



俺の気持ちは、もう十分伝わってるはずだから、

今度は彼女の気持ちを理解できるようにならないといけないよね。


カリンと同じ…って、思っちゃダメだよな、うん。


この前のことで、俺も少しは学習したんだよ?



「……さて。そろそろ、かな?」



アルバムを閉じて、立ち上がった…とき。



――ピンポーン



玄関のチャイムが鳴って。



「あらぁ。いらっしゃい」



母さんの弾んだ声が聞こえた。



「歩なら、お部屋に…「お邪魔しますっ」



それを遮って、ものすごい勢いで階段をかけ上がってくる足音。



「ごゆっくり~」



母さんののんびりした声と、ドアが開くけたたましい音がほぼ同時に響いて……



「ちょっと!どういうつもりっ?」